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2014年12月

建築虎視眈々[竹中大工道具館]

 10月に日本で唯一の大工道具をテーマにした博物館「竹中大工道具館」が移転・開館しました。建物は、地上一階・地下二階、淡路いぶし桟瓦葺きの寄棟で、六甲山を背後に、周囲の高層建築とは違った、緑の中にひっそり慎ましく建っています。

Cimg1559 建物内の中庭は、淡路の達磨窯で焼いた敷瓦と、左官・久住有生氏が作成した平らな壁を鏝で削り、凹凸を出し、版築壁のように仕上げた大壁が見事です。

Cimg1577_2内部は、収蔵約3万点の内約千点が展示され、縄文から現代に至る大工道具や、資料などが年代順・道具順に紹介され、わかりやすい映像もあり、内容が豊富で、見入っていたら時間があっという間に過ぎます。

Cimg1584_2 大工道具の進化・発明を時代と共に追っていくのは、様々な発見があります。

 まず、建築するには、木を切ることから始めます。打製石器(旧石器)~縄文時代の磨製石器(新石器)~弥生時代の鉄器へと進化していきますが、縄文遺跡の出土では、軟らかい石器、そして、栗の木が出てくる。弥生時代の遺跡からは、針葉樹の建築部材が多く出土する。

 縄文時代。石を研ぐには硬いより軟らかい方が作業能率がよいのは明らかであり、また、使用する木は、当時、硬い栗だったそうです。

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 栗のような硬くて目の詰んだ広葉落葉樹なら石の刃先が食い込み削ることが出来る。軟らかい杉や檜の針葉樹は、石器ではへこむだけで跳ね返されてしまう。鉄器になり、針葉樹が使われだしました。

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 8世紀に建造された国宝・唐招提寺金堂の原寸の木組みが、吹き抜けに展示されています。見れば見るほど美しい木組みのバランスです。大きな屋根を支える為、力の流れ・工夫がよくわかります。

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 鋸が出てくる前は、ノミと楔で板を割っていました。割り板時代は、杉や檜のような筋が通り節の無い真っ直ぐな針葉樹が主だったそうです。鋸の出現で作業効率、板材の使用が大きく変化しました。

Cimg1636 ロビーの天井は、奈良杉で組んだ船底天井です。天井が軽く美しく波打っているのは気持ちが安らぎます。

Cimg1640_2 大工道具は、機能のみで変化をしてきた感はありますが、デザインのみで考えても美しい造形になっています。何をとっても無駄な形にはなっていません。優れた鍛冶屋も重要です。鋸、鉋、錐、鑢、鉞…“かねへん”のつく道具が多いのも納得です。

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 小川三夫棟梁のノート。見入っちゃいます。

Cimg1599 図面も素敵

小川棟梁曰く「人も図面も、単純できれいに無駄のないものじゃなくちゃだめだな」

「大工図面だから実用。造る大工が使える図面」 大工の実作業を塾考、きちっと組まれてかつ単純で力が均等にかかることを考える。

 

 竹中大工道具館は、ものつくりの心を道具を通して私たちに教えてくれるメッセージ性の高い博物館です。勉強になります。建築に関わっている人はもちろん、建築学科の学生、子供達、また、これから家を建てようと考えている人は非常に心に響いてくると思います。

人が暮らす家なのにパッと選んでパッといつの間にか完成する家。

そんなの、ダメよ~。ダメダメ!

 日本建築の、木造の素晴らしさを体感できる館です。おすすめです。


























奥深い黒の魔力

黒漆喰磨き仕上げ。

Cimg1528黒いノロを鏝で光るまで磨きこんだ高度な技術がいる仕上げです。

美しい光沢が出るまで時間を要し経験と勘が必要です。まるで鏡のようですね。

Cimg1530これは、その下地です。この上に仕上げ材ノロ(ペースト)を塗ります。土の押えに近いですが、この状態でも十分美しい仕上げとなります。一般人が見ると、「これで十分ですよ!」と言われそうな壁仕上げです。ノロを一律薄く塗り広げないと塗厚の差が、ムラとなり、乾燥の差が綺麗な仕上がりになりません。

乾燥状態を見ながら鏝押えをしますが、力の加減が重要です。

光沢が出るまで鏝磨きを行い、乾燥の進みを見て、手やマットで磨き込みます。

これは、研ぎ出しです。表面を研ぐことにより石のような表情になります。

Cimg1538

下地にセメントと種石が混ざった材料を鏝で練り付け、硬化状態を見ながら、砥石で研ぎ出し、その後サンダーで慎重に仕上げていきます。

艶を出すため水研ぎをします。

Cimg1529これが仕上がった状態です。磨きとは違う表情です。見れば見るほど味わい深いです。

Cimg1535これも研ぎ出しです。すべて左官仕上げのテーブルです。材料を団子にして、押しつぶし研いでいます。こんなテーブルはいかがですか?

これは、タイル状の掻き落しです。現場で、貼る又は積む工法で開発中だとか。

Cimg1532左官小屋に行くと、扱っているものは古代からのモノでも、そこには新たな発想があります。本当に内からの美しさを出せるのは、何なのか。

素朴で単純な材ではあるが、決して単一で均質なものではありません。それが、内からの美が表情として出てくるのでしょう。だって、下地から鏝で押えや磨きをしていますから!














「日中韓の棟梁 技を語る」講演会

 先日、竹中大工道具館記念イベント「技と心」講演会に行ってきました。

 日本、中国、韓国の棟梁の3人の講演会と3人によるディスカッションです。

 日本は小川三夫棟梁。高校生の時、法隆寺を観て感動し西岡常一棟梁に21歳でやっとの末入門し、唯一の内弟子になりました。

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中国は、李永革。故宮博物院内の修理・復元事業を手掛けています。

韓国は申鷹秀。南大門、水源華城長安門復元工事などを行っています。

 この三国の棟梁の話です。建築の違い、大工道具の違い、棟梁として伝えたいこと、・・・同じ東アジアの地域といえ、木造建築・宮殿建築を通して面白い話が聞けました。

 まず{建築木材}では、小川「日本で木は檜のこと。昔の大工は檜は建築に適していると知っていた。だから法隆寺は千三百年経った今でも現存する」

李「中国は楠木ナンボク(日本には分布しない)」。申「韓国は赤松」

檜は中国や朝鮮半島には分布しない。「日本書紀」のスサノオノミコトの諸説には「檜は宮殿に、杉とクスノキは舟に、槇は棺に使え」と記載されています。

Cimg1505 道具では、{カンナ}の使い方が面白い。日本は引いて使うが、中国、は押して使う。韓国は両方ある。押す使い方のカンナは、とっ手が付いています。申「引くのを使ったがカンナは押すほうが楽」

 また、{鋸}では中国はほとんど全て枠鋸。大きな木は二人で引く。李「日本の鋸は中国では刀鋸と言う。それはまっすぐ切れない」。小川「枠鋸は使ったことない。枠が邪魔になりそうだ。しかし、昔日本も枠鋸を二人で使っており、ある大工が一人で引く鋸を発明し一人で引き、二人分の儲けをした。と文献にあった」

 {彩色}についても、日本は素木の木目の美しさが大事。中国は彩色のランクがあり色は重要。韓国は宮殿は彩色を施すが住宅は木目の美しさが重要視される。

Cimg1522 

 {大工の腕の見せ所}として、三国共、「軒の曲線が重要」。小川「大工は軒で泣く」

 中国は、垂木は扇状に配置していますが、日本の垂木は規則正しく平行に配置しています。よって端の方の垂木をとめるのに隅木が重要です。

 {棟梁とは}、李「仕口、木、部材の特性を把握する」

 申「恥ずかしくない仕事を残す。良い弟子を育てる」

 小川「全部の責任を負う。棟梁は言い訳しない」

Cimg1524 {三国の違い}は、申「中国の垂木は全体の屋根スケールからして細い。韓国は丸太をそのまま使い太い。未だに土葺き。日本は屋根の荷重を小さく努力し、痛んだ垂木の個所を古材を再利用し修復している。韓国は昔の材寸法、工法は改善できない」

 三国共通の意見は、「木が無い。木を育てるのが重要。」

 三国の棟梁の話を通して、木造建築の木組み・人組みの精神が国が違えど、同じ流れがあると思いました。日本では最近大型建築でも木造が多く建てられ、木が見直されてきました。一番のネックとなっていた耐火についても研究されてきています。昔の大工はよく知っていました。自分たちの風土や木の質、使い方を。

 「木を知るには土を知れ」





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