建築虎視眈々[三徳山三佛寺投入堂]
鳥取県にある三徳山は標高899.7mの霊山で、山岳仏教の聖地でもあります。
この三徳山を境内とする三佛寺の奥院・日本でも代表的な懸造り建築で有名な
「投入堂」が建っています。
投入堂を参拝登山するには、登山参拝事務所で、靴のチェックを受け、「六根清浄」と書かれた輪袈裟を借り、2人以上での受付となります。雨天荒天積雪時は入山出来ません。それは、少し登ると理解できます。
山門をくぐり、宿入橋を渡り、ここから行の始まりです。すぐに、木の根の入り込んだ「かずら坂」が現れます。なんじゃ、こら!
しっかり動かない根を選び、両腕両足に力を掛け登って行きます。
かずら坂を上がると、照葉樹林から落葉樹林へと変化していってます。自然林を観察しながらの険しい道中ですが、あまりじっくり観察する余裕はありません。
最初のお堂「文殊堂」が目の前に!この崖を登ります。
一人ずつ急なクサリ坂を上がっていきます。
「文殊堂」の空中廻り縁。少し怖いですが、周囲を見渡せ絶景が視界に飛び込んできます。この下は断崖絶壁。ここで、しばしの休憩。
その後、文殊堂と同様、崖の上に懸造り構法の地蔵堂があります。
ここでも、空中廻り縁で景色を楽しみ休憩。
世界でもこんな縁はなかなか無いかもしれません。絶景ですが、落ちたら最後。
馬の背、牛の背の滑りやすい狭い岩を歩き、「観音堂」に到着です。
岩の間にすっぽり嵌まっています。この岩山をぐるっと廻れば、投入堂が見えてきます。
宿入橋から投入堂まで標高差約200m。道のり約660m。1時間の行の道。
厳しい道を超えた先のこの風景。しんどかった分、感動です
国宝「投入堂」。近年、年輪年代測定により平安後期に建立されたことが判りました。
岩壁に、その名の通り、投入れられた、または、付着した感じがする建築です。
背後の岩が神であり神聖な領域であります。その地形に寄り添った形で、様々な柱と不規則な方杖に支えられています。人工的ではありますが、自然の一部となって現れています。
完成当時は、柱は朱色、壁は白色に塗られていたそうです。垂木の小口は緑色です。
昭和23年、建築家の堀口捨己氏と建築史家の大岡実氏とで論争がありました。
大岡氏の説は、「複数回により増築された堂だ。柱の材質太さ、面の取り方、屋根の傾斜など主屋と庇で構法が違う。」
堀口氏の説は、「岩に挟まれ上下が決まっているこの場で、後から取り付けて、このような素晴らしい姿にはならない。」
現在は、大岡氏の説が有力だそうです。
三佛寺は修験道(日本古来の山岳信仰に外来宗教の影響が加わった宗派)の行場が始まりと伝えられています。明治政府が修験道を廃止し天台・真言宗に併合されました。
どのようにして100m以上の断崖絶壁に建てたのか?
まだ解明はされていません。
この自然の厳しさの中で、景観と建築との美しさを体現している三徳山。
ここは、神聖なる空間であると感じました。
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