日本の面影
竹中大工道具館にて、「エバレット・ブラウン湿板写真展」 3/13まで開催中です。
写真の歴史は、結構古く、紀元前4世紀に写真の原理が発見され、写真の誕生は1820年。その後、1839年銀板写真が登場し、湿板写真は英国で1850年代に開発され、1859年に日本へ伝来しました。
淡路のだるま窯で焼いた敷瓦。雨に濡れて焼きムラがはっきり現れ、より自然に近づく。
1870年代、乾板写真が登場、1880年代からカメラの小型軽量化、その後現在のデジタル化へと発展してきました。
竹木舞。土を塗る前の下地は重要。そして、美しい・・・。
E・ブラウン氏は1988年から日本に永住しているフォトジャーナリストであり、湿板光画家でもあります。幕末から明治期の写真技術を駆使し全国を旅しながら、日本の失われた、また、失われつつある時間を記録にとり、伝えています。
蛍壁。火打窓の枠は、通常木製ですが、これは、黒漆喰磨きで仕上げています。手前の壁は、土から浮かび上がる錆を蛍光と見立てている蛍壁。奥の壁は、漆喰赤磨き仕上げ。弁柄入りの漆喰を刷毛で叩き出し、鏝で凸部分を削り落し痕を磨いています。
湿板写真とは、感光液(フロジオン液)をガラス板に塗って撮影・現像しネガを作る写真です。湿った状態で撮影を行うため湿板と呼ばれています。一枚作るだけでも多くの機材と薬品が要り、大変手間・時間がかかります。
①感光液を作る
様々な液を混合し熟成させる。期間2日~2週間。
②ガラス液を磨く
ガラスの表裏を二酸化炭素でよく磨く。次に卵の白身とアンモニウム等を混ぜ合わせた下地をガラス板に塗布。
③感光液の塗布・浴銀
ガラス板に感光液をまんべんなく塗布。その後暗室でガラス板を硝酸銀溶液に浸す。
④撮影
ガラス板をカメラに装着。ガラス板が乾く前に撮影する。感光時間3秒~18分間。
⑤現像~定着
ガラス板に硫酸第一銀溶液を流しかけ現像。画像が浮かび上がったら水道水をかけ現像停止。その後、シアン化カリウム溶液に浸し画像を定着させる。
⑥水洗~乾燥
ガラス板を十分水洗い後乾燥。膜面保護の為、ニス等でコーティング。
日本の面影をテーマとしたオブジェ「LENS」
E・ブラウン氏は、湿板写真で日本の伝統文化、道具・人・建築・景観を面影を追い、後世に伝えて、ものづくりに宿る魂を表現しています。そこには、宮大工・小川三夫、瓦職人・山田脩二、左官・久住章、妙喜庵・待庵、箱木家住宅、聴竹居・・・。
時間をかけて写し出された湿板写真からくる時間の経過が、道具・職人たちから多くのメッセージとして我々に問いかけてきます。
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