12坪の家 劇的空間の秘密

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土窯で薪で焼いた味わいある瓦。
日本最古の平瓦と丸瓦。桶巻きづくりという製法であった。
桶に粘土を巻き、平瓦は4分割、丸瓦は2分割して窯で焼く工法であった。
登り窯。薪は樹齢40~80年くらいの松が樹脂が多く火力が強くてよかったそうです。一窯に1600束の松薪がいったそうな。薪を割るのも大変ですね。
軒丸瓦。トモエと言う。様々な文様が愛らしい。
吉野仏舎利塔の鬼瓦。鬼瓦は棟の両端から雨水が侵入しないよう塞ぐ瓦。この様な鬼面が登場したのは奈良時代以降。いつの間にか鬼瓦と呼ばれるようになりました。
鬼瓦を見るのは楽しい。職人の遊び心もあるのでしょう。ユニークな顔があります。
薬師寺の鬼瓦。
平瓦の反りの定規。
平瓦の場合、「瓦の深さ」「瓦のゆがみ」を確認し選別します。
達磨窯で焼いた敷瓦。この表情がたまんない
美しき景観をつくり守るのは屋根です。
庶民の住宅を中心に研究し、自らの住まい方も記録に残した。そして、アパートや建売、長屋、農家、兵営、ドヤ、飯場、炭鉱住宅、学生寮、プレハブ住宅、・・・あらゆる住まいの現地調査を詳細なスケッチで記録しました。
図の中には、人々の暮らし、家財道具など詳細に描かれています。その中でも、不良住宅調査は戦後の日本の住宅の問題点を書き留め、未来の住処について大きな成果になっています。
建築だけではなく、生きるということに関するすべてのものをスケッチしまくっています。
地域問題をテーマにするときも西山は人間のそこでの生活を主張しました。自動車に依存しすぎる生活が地域の秩序を乱し結果的に貧しい生活空間をもたらすと言っています。
京都の景観問題、町並み保存運動。「地元住民の運動こそが真の都市計画だ」
これはベネチアのサンマルコ広場にある「オリヴェッティ・ショールーム」の階段です。現在は土産物屋になっています。設計はカルロ・スカルパ。
5m×21mの間口が狭い空間は、中央に大きな吹き抜けを持ち、この階段が自然な流れで美しく上下階をつないでいます。ピアノの鍵盤を思わせるアウリシナ大理石製踏板。その踏板の下に覗く真鍮の支持金物がデザインのミソになっています。多くの建築家がこれを見て参考にしたでしょう。スカルパもローレンティン図書館(ミケランジェロ)の階段を見ています。
ルーブル美術館・入場口「ガラスのピラミッド」の階段。ゆったりした螺旋階段で、一段一段降りて行く度、ピラミッド内部へ潜入し興奮度が増していきます。そして、今度は階段上部の踊り場に「サモトラケのニケ」の彫刻が向こうに見えてきます。
「ダリュの階段」。この彫刻の為に存在する階段です。
「ダーダ・ハリールの階段井戸(アーメダバード)」。2000年に訪れたときは水はあまり無かった。現在は地下寺院としても用いられているみたいです。外は30℃だが最下部深さ20mではなんと!18℃でした。市民が涼しむ場でもあり、子供たちの遊び場でもある。
「サヴォワ邸(フランス)」のサブ階段は彫刻的にコンパクトに存在しています。
白い四角い箱の中に、黒い手摺の曲線美が空間を豊かにしています。
こちらもル・コルビュジエ設計の「繊維業者協会会館(アーメダバード)」。
カルロ・スカルパ設計「ヴリオン・ヴェガ(トレヴィソ)」。
このステップもスカルパデザイン。洗練されています。美しい。
会場は、真・行・草のRの土壁で
設営され、久住章さんの多くの鏝が展示されています。
左官鏝は、鏝鍛冶と言われる鍛冶屋が付けた呼称と、左官が用途別に付けた呼称があり複雑になっています。鏝の種類は1000あるといわれており、久住さんの鏝も1000丁程あるそうです。
鏝は一般的な形はありますが、鍛冶屋によって微妙に違うそうです。その鍛冶屋に注文するベテランの職人に合わせて作られているからです。
新しい仕上げをするために新しい鏝が必要になる。初めに買った既成の鏝は使わなくなり増えていく一方だとか。
鏝は明治の前と後ろで画期的に変わりました。「元首鏝」から「中首鏝」へ。これにより大きな壁が平らに仕上げられ使い勝手が格段によくなりました。
これは鍛冶の技術が向上し、「かし留め」という溶接でなく鍛造でできたことが「中首鏝」が可能になった要因です。
久住さん作の
チリ箒。会場では久住さんが解説している映像が流れています。鏝板も明治以前と以降で変化しました。
羽子板型から現在の裏に持ち手がある型へ。これにより多くの材料を載せることができ生産性があがりました。
黒漆喰磨き仕上げ。
黒いノロを鏝で光るまで磨きこんだ高度な技術がいる仕上げです。
美しい光沢が出るまで時間を要し経験と勘が必要です。まるで鏡のようですね。
これは、その下地です。この上に仕上げ材ノロ(ペースト)を塗ります。土の押えに近いですが、この状態でも十分美しい仕上げとなります。一般人が見ると、「これで十分ですよ!」と言われそうな壁仕上げです。ノロを一律薄く塗り広げないと塗厚の差が、ムラとなり、乾燥の差が綺麗な仕上がりになりません。
乾燥状態を見ながら鏝押えをしますが、力の加減が重要です。
光沢が出るまで鏝磨きを行い、乾燥の進みを見て、手やマットで磨き込みます。
これは、研ぎ出しです。表面を研ぐことにより石のような表情になります。

下地にセメントと種石が混ざった材料を鏝で練り付け、硬化状態を見ながら、砥石で研ぎ出し、その後サンダーで慎重に仕上げていきます。
艶を出すため水研ぎをします。
これが仕上がった状態です。磨きとは違う表情です。見れば見るほど味わい深いです。
これも研ぎ出しです。すべて左官仕上げのテーブルです。材料を団子にして、押しつぶし研いでいます。こんなテーブルはいかがですか?
これは、タイル状の掻き落しです。現場で、貼る又は積む工法で開発中だとか。
左官小屋に行くと、扱っているものは古代からのモノでも、そこには新たな発想があります。本当に内からの美しさを出せるのは、何なのか。
素朴で単純な材ではあるが、決して単一で均質なものではありません。それが、内からの美が表情として出てくるのでしょう。だって、下地から鏝で押えや磨きをしていますから!
先日、竹中大工道具館記念イベント「技と心」講演会に行ってきました。
日本、中国、韓国の棟梁の3人の講演会と3人によるディスカッションです。
日本は小川三夫棟梁。高校生の時、法隆寺を観て感動し西岡常一棟梁に21歳でやっとの末入門し、唯一の内弟子になりました。
中国は、李永革。故宮博物院内の修理・復元事業を手掛けています。
韓国は申鷹秀。南大門、水源華城長安門復元工事などを行っています。
この三国の棟梁の話です。建築の違い、大工道具の違い、棟梁として伝えたいこと、・・・同じ東アジアの地域といえ、木造建築・宮殿建築を通して面白い話が聞けました。
まず{建築木材}では、小川「日本で木は檜のこと。昔の大工は檜は建築に適していると知っていた。だから法隆寺は千三百年経った今でも現存する」
李「中国は楠木ナンボク(日本には分布しない)」。申「韓国は赤松」
檜は中国や朝鮮半島には分布しない。「日本書紀」のスサノオノミコトの諸説には「檜は宮殿に、杉とクスノキは舟に、槇は棺に使え」と記載されています。
道具では、{カンナ}の使い方が面白い。日本は引いて使うが、中国、は押して使う。韓国は両方ある。押す使い方のカンナは、とっ手が付いています。申「引くのを使ったがカンナは押すほうが楽」
また、{鋸}では中国はほとんど全て枠鋸。大きな木は二人で引く。李「日本の鋸は中国では刀鋸と言う。それはまっすぐ切れない」。小川「枠鋸は使ったことない。枠が邪魔になりそうだ。しかし、昔日本も枠鋸を二人で使っており、ある大工が一人で引く鋸を発明し一人で引き、二人分の儲けをした。と文献にあった」
{彩色}についても、日本は素木の木目の美しさが大事。中国は彩色のランクがあり色は重要。韓国は宮殿は彩色を施すが住宅は木目の美しさが重要視される。
{大工の腕の見せ所}として、三国共、「軒の曲線が重要」。小川「大工は軒で泣く」
中国は、垂木は扇状に配置していますが、日本の垂木は規則正しく平行に配置しています。よって端の方の垂木をとめるのに隅木が重要です。
{棟梁とは}、李「仕口、木、部材の特性を把握する」
申「恥ずかしくない仕事を残す。良い弟子を育てる」
小川「全部の責任を負う。棟梁は言い訳しない」
{三国の違い}は、申「中国の垂木は全体の屋根スケールからして細い。韓国は丸太をそのまま使い太い。未だに土葺き。日本は屋根の荷重を小さく努力し、痛んだ垂木の個所を古材を再利用し修復している。韓国は昔の材寸法、工法は改善できない」
三国共通の意見は、「木が無い。木を育てるのが重要。」
三国の棟梁の話を通して、木造建築の木組み・人組みの精神が国が違えど、同じ流れがあると思いました。日本では最近大型建築でも木造が多く建てられ、木が見直されてきました。一番のネックとなっていた耐火についても研究されてきています。昔の大工はよく知っていました。自分たちの風土や木の質、使い方を。
「木を知るには土を知れ」
室内最終仕上げです。大津磨き仕上げ。下地は3週間前に塗り終え、乾燥させました。

仕上げに塗る引土の材料は、土に石灰、紙スサ。糊は入れません。居間の仕上げの引土は愛知県産の土です。この住宅のメインの壁です。
ちり際は小さな鏝で慎重に押えていきます。1800×2400の壁に3人の左官が1日掛かりで仕上げます。
鏝で何回も押さえ、柔らかいビロードという布で表面を拭き、光沢を出します。
寒いのでなかなか水は引きません。
これは、玄関壁の桜色大津磨きの引土です。白土+弁柄+紙スサを念入りに混ぜています。
大津磨きは、下塗りの灰土の段階から鏝で磨くのが重要で、その上に引土で押さえ込んで磨いていきます。仕上げの引土は数ミリの薄い皮膜のようになります。
現場は静寂の中で鏝音だけ響いています。左官は指先と鏝音を頼りに力の加減をしています。
左官は水との戦いです。緊張の中、工程は進んで行きます。
玄関側は寒いので、水がなかなか引かなく、朝から21時までこの壁を磨きました。
タイミングを計り、二人で押えていきます。高度な技術と手間と経験が必要な左官最高級で難しい仕上げです。
仕上がりは、上品で光の加減によって光沢を帯び、きっと、吉野杉との相性はバッチリでしょう!
桜大津磨き壁はお客さんを優しくお出迎え、黄大津磨き壁は家族の成長を見守るでしょう。
外壁の仕上げが終了し、足場が取れました。
近所にお披露目です。![]()
掻き落とし仕上げです。
室内は、壁は土なでもの仕上げと大津磨きです。
土なでもの仕上げ中。淡路の土です。
寒いので完成後2週間経っても、なかなか乾きません。昔の家は工期が長いのは理解できます。
大津磨きのサンプルです。皆良いので、悩みます。このサンプル作りにも相当な時間が掛かります。
住人・お客さんを迎える玄関と居間の壁に仕上げます。下地の石膏から仕上げの磨きまで8回工程です。この壁も下地の土が完全に乾燥しなければ、仕上げの上塗り土が塗れません。
完成が楽しみです。
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