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黒漆喰磨き仕上げ。
黒いノロを鏝で光るまで磨きこんだ高度な技術がいる仕上げです。
美しい光沢が出るまで時間を要し経験と勘が必要です。まるで鏡のようですね。
これは、その下地です。この上に仕上げ材ノロ(ペースト)を塗ります。土の押えに近いですが、この状態でも十分美しい仕上げとなります。一般人が見ると、「これで十分ですよ!」と言われそうな壁仕上げです。ノロを一律薄く塗り広げないと塗厚の差が、ムラとなり、乾燥の差が綺麗な仕上がりになりません。
乾燥状態を見ながら鏝押えをしますが、力の加減が重要です。
光沢が出るまで鏝磨きを行い、乾燥の進みを見て、手やマットで磨き込みます。
これは、研ぎ出しです。表面を研ぐことにより石のような表情になります。
下地にセメントと種石が混ざった材料を鏝で練り付け、硬化状態を見ながら、砥石で研ぎ出し、その後サンダーで慎重に仕上げていきます。
艶を出すため水研ぎをします。
これが仕上がった状態です。磨きとは違う表情です。見れば見るほど味わい深いです。
これも研ぎ出しです。すべて左官仕上げのテーブルです。材料を団子にして、押しつぶし研いでいます。こんなテーブルはいかがですか?
これは、タイル状の掻き落しです。現場で、貼る又は積む工法で開発中だとか。
左官小屋に行くと、扱っているものは古代からのモノでも、そこには新たな発想があります。本当に内からの美しさを出せるのは、何なのか。
素朴で単純な材ではあるが、決して単一で均質なものではありません。それが、内からの美が表情として出てくるのでしょう。だって、下地から鏝で押えや磨きをしていますから!
先日、竹中大工道具館記念イベント「技と心」講演会に行ってきました。
日本、中国、韓国の棟梁の3人の講演会と3人によるディスカッションです。
日本は小川三夫棟梁。高校生の時、法隆寺を観て感動し西岡常一棟梁に21歳でやっとの末入門し、唯一の内弟子になりました。
中国は、李永革。故宮博物院内の修理・復元事業を手掛けています。
韓国は申鷹秀。南大門、水源華城長安門復元工事などを行っています。
この三国の棟梁の話です。建築の違い、大工道具の違い、棟梁として伝えたいこと、・・・同じ東アジアの地域といえ、木造建築・宮殿建築を通して面白い話が聞けました。
まず{建築木材}では、小川「日本で木は檜のこと。昔の大工は檜は建築に適していると知っていた。だから法隆寺は千三百年経った今でも現存する」
李「中国は楠木ナンボク(日本には分布しない)」。申「韓国は赤松」
檜は中国や朝鮮半島には分布しない。「日本書紀」のスサノオノミコトの諸説には「檜は宮殿に、杉とクスノキは舟に、槇は棺に使え」と記載されています。
道具では、{カンナ}の使い方が面白い。日本は引いて使うが、中国、は押して使う。韓国は両方ある。押す使い方のカンナは、とっ手が付いています。申「引くのを使ったがカンナは押すほうが楽」
また、{鋸}では中国はほとんど全て枠鋸。大きな木は二人で引く。李「日本の鋸は中国では刀鋸と言う。それはまっすぐ切れない」。小川「枠鋸は使ったことない。枠が邪魔になりそうだ。しかし、昔日本も枠鋸を二人で使っており、ある大工が一人で引く鋸を発明し一人で引き、二人分の儲けをした。と文献にあった」
{彩色}についても、日本は素木の木目の美しさが大事。中国は彩色のランクがあり色は重要。韓国は宮殿は彩色を施すが住宅は木目の美しさが重要視される。
{大工の腕の見せ所}として、三国共、「軒の曲線が重要」。小川「大工は軒で泣く」
中国は、垂木は扇状に配置していますが、日本の垂木は規則正しく平行に配置しています。よって端の方の垂木をとめるのに隅木が重要です。
{棟梁とは}、李「仕口、木、部材の特性を把握する」
申「恥ずかしくない仕事を残す。良い弟子を育てる」
小川「全部の責任を負う。棟梁は言い訳しない」
{三国の違い}は、申「中国の垂木は全体の屋根スケールからして細い。韓国は丸太をそのまま使い太い。未だに土葺き。日本は屋根の荷重を小さく努力し、痛んだ垂木の個所を古材を再利用し修復している。韓国は昔の材寸法、工法は改善できない」
三国共通の意見は、「木が無い。木を育てるのが重要。」
三国の棟梁の話を通して、木造建築の木組み・人組みの精神が国が違えど、同じ流れがあると思いました。日本では最近大型建築でも木造が多く建てられ、木が見直されてきました。一番のネックとなっていた耐火についても研究されてきています。昔の大工はよく知っていました。自分たちの風土や木の質、使い方を。
「木を知るには土を知れ」
室内最終仕上げです。大津磨き仕上げ。下地は3週間前に塗り終え、乾燥させました。
仕上げに塗る引土の材料は、土に石灰、紙スサ。糊は入れません。居間の仕上げの引土は愛知県産の土です。この住宅のメインの壁です。
ちり際は小さな鏝で慎重に押えていきます。1800×2400の壁に3人の左官が1日掛かりで仕上げます。
鏝で何回も押さえ、柔らかいビロードという布で表面を拭き、光沢を出します。
寒いのでなかなか水は引きません。
これは、玄関壁の桜色大津磨きの引土です。白土+弁柄+紙スサを念入りに混ぜています。
大津磨きは、下塗りの灰土の段階から鏝で磨くのが重要で、その上に引土で押さえ込んで磨いていきます。仕上げの引土は数ミリの薄い皮膜のようになります。
現場は静寂の中で鏝音だけ響いています。左官は指先と鏝音を頼りに力の加減をしています。
左官は水との戦いです。緊張の中、工程は進んで行きます。
玄関側は寒いので、水がなかなか引かなく、朝から21時までこの壁を磨きました。
タイミングを計り、二人で押えていきます。高度な技術と手間と経験が必要な左官最高級で難しい仕上げです。
仕上がりは、上品で光の加減によって光沢を帯び、きっと、吉野杉との相性はバッチリでしょう!
桜大津磨き壁はお客さんを優しくお出迎え、黄大津磨き壁は家族の成長を見守るでしょう。
外壁の仕上げが終了し、足場が取れました。
近所にお披露目です。
掻き落とし仕上げです。
室内は、壁は土なでもの仕上げと大津磨きです。
土なでもの仕上げ中。淡路の土です。
寒いので完成後2週間経っても、なかなか乾きません。昔の家は工期が長いのは理解できます。
大津磨きのサンプルです。皆良いので、悩みます。このサンプル作りにも相当な時間が掛かります。
住人・お客さんを迎える玄関と居間の壁に仕上げます。下地の石膏から仕上げの磨きまで8回工程です。この壁も下地の土が完全に乾燥しなければ、仕上げの上塗り土が塗れません。
完成が楽しみです。
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