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建築

旧甲子園ホテルライトアップ

毎年恒例の武庫川女子大学甲子園会館ライトアップを観に行きました。

旧甲子園ホテル(1930完成)。西の帝国ホテルと呼ばれていました。

現在は武庫川女子大学建築学科の校舎です。

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設計者はフランク・ロイド・ライトの弟子遠藤新。 

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テキスタイルブロックや、竜山岩の装飾彫刻など帝国ホテルと類似のデザインと材料を使用しています。

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広大な敷地内に来年開設予定の「景観建築学科」の新校舎が建設中です。

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地元の人たちが多く来ていました。

館内では学生の演奏やダンスのパフォーマンスが行われていました。

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西ホールの天井。和風の照明。

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甲子園会館と別棟「建築スタジオ」は2年生以上の学生達が学んでいる。

設計課題の作品が展示されている。

日本建築学会主催の学生の本年度のコンペ「銀茶会の茶席」の実物大の茶室。

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武庫川女子大学修士2年生の作品「透綾(すきや)」

優秀賞(第2位)になりました。

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下部は木質繊維板、壁+天井は半透明のプラスチック中空板で出来ています。

外観は真四角。中に入れば壁・天井は曲面を成しています。

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折り畳んで自由に移動できます。3時間位で組み立て可能だそうです。

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床は畳の小上がりです。床の基礎は紙管です。

地域に根付いた学校・建築は素敵ですね。

 

光の教会

光の教会(茨木春日丘教会)を久しぶりに訪れました。

安藤忠雄の初期の頃の名作です。

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数年前に何回か訪れました。その時は予約無しで見学できました。

現在はHPで予約を取った者のみ見学可能です。

人気の教会です。3ヶ月先まで予約満杯です。

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茨木市の閑静な住宅街に位置する教会です。

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建築は、打ち放しコンコリート6.28m×18m×h6mの直方体の箱に

15度振れた斜めの自立壁が貫入したシンプルな構造。

この斜め壁がエントランス部分と分けています。

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北側の壁を突き抜けている。

安藤建築は見えるところは大体竪樋2本だ。

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入口部分。斜めの壁に沿って堂内へ導かれて行く。

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1/10の模型。

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暗闇の空間に光の十字架が劇的に堂内に浮かんでいる。

感動的である。この光のみ存在している。

当初は通路は両側の壁沿いだった。中央に変更し長椅子を両側に分け、光を床に伸びるようにした。

人々の動線と視線は十字架に向く。

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床は十字架に向かって階段状に下がっている。1m下がっている。

床材は工事用の杉足場板。椅子も。オイルステイン仕上げ。

床と椅子の質感はこの空間に合っている。

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安藤忠雄は、本当はこの十字のスリットにガラスをいれたくなかったそうです。

ローマのパンテオンの光も風も雨も直接入ってくる天窓のイメージか。

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光の十字架の十字架の壁の対面する北側にオルガンが置かれている。

斜めの自立壁と天井・北側壁の隙間、入口の開口部から光が僅かにもれるのがこの礼拝堂の象徴的な空間を表現する。

隣に「日曜学校」がある。礼拝堂との関係がよく分かる平面模型。

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こちらも1階部分のみ見学可能。

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予算が大変厳しい中だから出来た、

そして施主、建築家、施工者の思いを十分感じ取れる建築だ。

これ以上シンプルにできないところまで質素で、

堂内に入ると気持ちが昂る、または落ち着く名建築だ。 

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青春の青リンゴ

兵庫県立美術館に「Ando Gallery」が開館しました。

安藤忠雄設計のこの美術館に以前は安藤コーナーとして小さな展示スペースが設けられていました。

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グレーの部分です、2階、3階の2層で、既存の石張りの壁に床と屋根を掛けて

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増築しています。青リンゴも新たに設置。

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鉄骨造で床をこの壁に架け、美術館のアプローチ部は片持ち梁で張り出す2階。

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壁と増築鉄骨床との取り合い。

独立した壁があったのでこの増築を可能にしました。

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内部は壁に寄り添うように3階の床が増築されており、その壁を中心に展示計画されています。

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「3階企画展示スペース」既存壁に開口部を設けている。

空間に広がりを付けている。

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イタリア・ベネチアの「プンタ・デラ・ドガーナ」の模型。

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階段を上がった突き当りは本の壁になっている。

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最高の仕上げの壁だ。この本棚は下の方の安藤忠雄本は手に取って自由に読める。

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4階オープンスペースから見た「3階展示スペース」

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「光の教会」の1/10のコンクリート製の大きな模型。

安藤建築の中でも私の一番好きな建築です。

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「美術館とその周囲の水際広場と想いを込めた青リンゴの模型」

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南側に神戸港と青リンゴのオブジェが見える。

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3階屋外デッキにある話題の「青リンゴ」。

米国詩人サミュエル・ウルマンの「青春の詩」の中で

「青春とは人生のある期間ではない、

心のありようなのだと謳いました。

失敗を恐れることなく困難な現実に立ち向かう挑戦心。

どんな逆境にあろうとも、夢をあきらめない心の逞しさ。

身体・知性がいかに年を重ね。

成熟しようともこの内なる若さをさえ失わなければ

いつまでも輝きを失わない、永遠の青春へ--

目指すは甘く実った赤リンゴではない

未熟で酸っぱくとも明日への希望に満ち溢れた青リンゴ」

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既存の空いているスペース+壁を有効に利用。

免震建築物の増築は珍しいとのことだ。

注目の青リンゴのオブジェで新たなシークエンスを造る。

 

 

 

 

 

 

環境共生住宅・日本の住宅の理想形「聴竹居」

京都大山崎、天王山の中腹にひっそり「聴竹居」は建っています。

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建築家・藤井厚二はこの土地1万2千坪に居住し、

三回~5回の実験住宅を建て気候のデータを採り実証、改善を加えながら

第5回住宅(聴竹居)を完成させました。

南に面する大きな縁側。景色を満喫できる憩いの場。

夏は地窓を開ければ木々を通り涼しい風が入り、冬は暖かく快適な場所だ。

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藤井は日本各地の気候を調べ外国の気候と比較し、「日本の住宅の室内環境を快適に保つには夏場の対策が大切」

よって「室内に熱をこもらせないために、室内の空気の流れが重要」

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特に冬場の縁側は家族の憩いの場。

「日本では玄関庭以上に縁側は近隣の人々を結ぶ場であった。」

藤井は日本の住宅は縁側は重要であると聴竹居で言っているかのようだ。

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室内は、「一屋一室」の考えで成り立っている。

平面は単調にならず、引っ込み出っ張りが心地よい空間になっており、視線の高さを考慮し適度な段差があります。

扉を開ければ大きな一室。風通しの良い日本元来の室内に洋風の暮らしを取り入れた暮らしを

想像した間取りである。右の出っ張りは特徴的な食事室。

「食堂を居間の一部に設けることが最も適当」

完全には仕切らずかつ独立した空間。

食事室と調理室との関係性も機能的である。

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聴竹居の南東側の視界を遮らない場所にに現存する下閉所(茶室)。ここでブルーノ・タウトをもてなした。

タウトの日記に「これは茶室建築の革新である。」

ここは見学不可。

藤井は日本で初めて茶室を設計した建築家と言われている。

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玄関脇には伊藤忠太デザインの「怪獣」が・・・。

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1928年完成の聴竹居。全然古さを感じなかった。現代でも快適に暮らせる間取りと機能性。

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〇自然エネルギーを生かした建築

〇和と洋のええとこどりの未来を予見した建築。

〇大きな快適な縁側+居間中心の一屋一室の空気が流れる室内

気候風土に合わせて科学的に実証し環境工学の知見を取り込みこの場所に住みながら設計し、これは考え抜かれた住宅だ!

 

 

西宮神社の大練塀は圧倒的だ!

西宮神社


全国のえびす宮総本社。


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全国的に「福男選び」「阪神タイガース必勝祈願」で有名ですね。


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三連春日造りは珍しい構造の本殿です。


1663年国宝に指定されました。


後方一帯の境内は「えびすのの森」。


西宮神社のもう一つの有名な国の重要文化財は「大練塀」


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国道43号線側の南門両側に大練塀がどっしり構えている。


版築という工法で施工された土の塊の塀である。


こちらの南側の大練塀は現存最古の築地塀です。


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歴史を感じさせます。


東側の福男選びのスタート地点で有名な「赤門」は阪神淡路大震災後の塀です。


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日本の版築は中国から来たと言われています。建築基準法で日本では建築の主体構造としては使用されていない。


土塀や間仕切壁。しかし外国では構造として版築を使っているところがある。


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全長247m。4m単位で62ブロックで構成されている。


日本の三大練塀は、この西宮神社と


熱田神宮(名古屋)の信長塀:平瓦を生石灰とサバ土で積んでいる。


三十三間堂(京都):漆喰で水平に5本のラインが入っている。


三つ共特徴がある素敵な版築塀です。


最近よく版築を使用した建築を雑誌とかで見かけます。


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地球上で土を構造とする建造物は30%以上だそうです。


版築工法は堅固で耐久性があり土の塊で蓄熱性と調湿性が大きい。万里の長城が有名です。


モロッコに行った時見た日干し煉瓦と版築の建築の村が美しかったです。


地球環境に対する意識が高まってきているのと、見た目が単純に土の力強い層が出ており美しいというのが理由にありそうです。


また施工は型枠組立さえ精度をきちんとすれば結構重労働ですが素人が参加しやすい単純で面白く容易な作業です。材料費は安いです。


実は私もよく版築土壁を設計に取り入れています。


 


 

大学建築学科は忙しいし面白い、夢がある

「武庫川女子大学建築学科 卒業設計展・作品展」を観てきました。
Cimg3767 学士課程1~4年、修士課程1、2年生。卒業設計は学士4年生、修士2年生。Cimg3764 1年生の空間表現演習「基本立体による構成」。建築学科に入学して立体のバランスと美を学ぶ。Cimg3754
1年生の演習の集大成課題「祈りの空間」。敷地は指定されフィールドサーベイをする。各個人が選んだ仏像をスケッチしそれを建築に表現する。
面白い課題である。1年生の初めての設計課題。建築設計への最初の記念すべき課題でしょう。建築家へ向かうスタート。Cimg3778
3年生の課題「集合住宅」。細部までよく作り込まれている模型です。模型を観る楽しさは自分が模型のスケールになりその中を歩き回ることです。制作者は その視線で設計しています。完成模型の前にスタディ模型で何回も作り壊し、変更しながら良いものに向けて進めていきます。Cimg3799
3年生の課題「幕屋根を掛けた阪神甲子園駅」。現存する建築を再生・増築するときは現地調査が重要です。設計でいかにフィールドサーベイが重要かの課題です。
軽やかな幕屋根の曲面を維持するのが実際でも模型でも難しい。なるべく柱は細くしたいとまず思う。この作品は軽やかな曲面の屋根がタイトル通り吹き抜ける風をイメージ出来ている。Cimg3784
4年生卒業設計。自由にテーマを設定出来る。4年間の最後の設計である。敷地は世界中いや、宇宙でも面白い。現地調査は無理ですが・・・。Cimg3787 
タイトル「深山幽玄」。中国の山水画に描かれる三遠。面白い敷地設定です。この学生は敷地模型を作成中ニコニコして作業したでしょう。敷地模型を作っているとき当然建築のことを考える。何をやってやろうかと!それが設計の楽しさであります。Cimg3809
敷地は八尾の作品。解放感がある建築である。模型材料はバルサ。スチレンボードよりよっぽど味がある。しかし値段は高い。木造建築の模型を作成するにはバルサが良い。Cimg3768
タイトル「蓮華ドーム」。空間が変化する 建築の可能性を問う作品である。実際ここでコンサートを観たい気分になる。Cimg3769
「四天王寺の歴史や文化を発信する観光拠点を提案した作品」この作品も模型を観るとワクワク感がある。
さすが、卒業設計は自由で個性が出ていて面白い。力作ばかりです。素晴らしい。Cimg3794 
修士1年生の作品。コンセプトがさすが、しっかりとしており作品に表れています。Cimg3780
建築のようで家具のようだ。何かの生命体みたいだ。食べたら美味しそうだ! 自由な発想と問題定義するのは建築家の役目だ。Cimg3779
曲面を考える。建築家にとっては円形劇場、球体空間、卵型空間、楕円形プラン・・・、は
実現したい形だ。授業でモックアップを造り考えることが重要だ。しなやかさと硬い竹を構造とし左官仕上げで曲面を表している。日本建築の壁・(竹小舞+土壁)の柔軟性がいかに日本に合っているかを理解できますね。Cimg3789 
修士2年生の「ユニット化されたグリッドシェルパネル」のモックアップ。美しい曲線になっている。軽量で容易な施工、大量生産出来て低コストでしたら仮設建築なんかにも役立ちそうです。Cimg3806 工学系の中で建築は美術の要素が含まれる学科です。この様に建築関係以外の人も見て楽しめますね。Cimg3790 修士2年生・修士設計。6年間の集大成。タイトル「展景ー海を見晴らす楽しい坂の路ー」
Cimg3791 一つの建築のみでなく景観もデザインされている。自然と一体となった。これが本来の建築の意味でしょう。Dsc03439
武庫川女子大学建築学科の校舎は巨匠フランク・ロイド・ライトの弟子:遠藤新が設計し、1930年に完成した旧甲子園ホテルです。名建築です。Dsc03450 1年生がこの建築を使用しています。大変羨ましい!そら、ここで勉強できるなら気合が入りますね!1学年40名。一人1台の製図版・PC。私の時代、学校では家に持って帰って製図をする以外になかった。素晴らしい環境の中で4年間、又は6年間建築の勉強が出来ます。Dsc03475
相変わらず偽装が多い建築業界。自分さえよければ、儲かりさえすれば、バレなければ、確認申請が通れさえすれば・・・という最悪な考えを持つ人たちに、
この様な純粋な夢と希望をもって日夜努力し建築を楽しんでいる学生の作品を観るのも良い薬になるかもしれません!